ツシマウラボシシジミ

 休みの日には、どこかのフィールドに分け入っている職員太田です。

 

今回は、ツシマヤマネコと並んで保護活動が盛んな「ツシマウラボシシジミ」をご紹介します。シジミと名前がついていますが貝ではなく蝶です!!

 

 

 ただし... ご紹介と言っても、この生き物は非常に小さく森林に生息しているため太田の持つカメラでは飛翔する様子を撮影することは出来ないので確実に撮影できる幼虫や見つけた発生卵のご紹介になります…

見事に幼虫ばかりですね...

写真は産卵草と考えられているヌスビトハギに付く幼虫たち。接写するとなんとも淡い色合いで和菓子の様です。蟻が幼虫に乗っている写真がありますが、これは蟻に襲われているわけではなく幼虫が出す蜜を貰いに来ているだけです。シジミの仲間たちは蟻と相利共生にあると言われており、幼虫が出す蜜を貰う代わりに蟻は外敵や幼虫と競合するような虫を追い払う用心棒をしていると考えられています。ちなみにクロシジミはクロオオアリの巣の中で成長します。ここまでいくと用心棒というよりベビーシッターですが。

話を戻してツシマウラボシシジミとはどんな蝶かというと…

 

チョウ目 シジミチョウ科

ツシマウラボシシジミ

学名  Pithecops fulgens tsushimanus(Shirozu & Urata, 1957)

 

1957年に当時、長崎大学の学生だった浦田明夫・池内一三さんが発見した蝶です。学名に対馬と記載される地域亜種となります。原産地はインドで比較的温暖な気候で生息しており対馬にいるのが不思議な蝶です。容姿の特徴はオスの翅表は青く、メスでは黒色で翅裏に一対の黒い点紋があります。国内希少野生動植物種指定をされており、国内では最も絶滅に近い蝶とも言われています…

 

大きな原因は2つ考えられていて

・増えすぎたツシマジカによる植生の崩壊

・植林地の放置による林床への日照量の減少

 

発見当時、対馬内では比較的数多く見られていたそうですが現在では数が激減しております。

減少要因の2つはツシマヤマネコの減少要因と符合しており、対馬での野生動物保護で何が必要なのかを表しています。保護ときくと生かすというイメージがわくかと思いますが、駆除による適正頭数維持も含まれており、何かの命を奪う活動も必要になります。多くの方々に理解してもらうのが難しいかもしれませんが、対馬の場合だとツシマジカを適正頭数に戻さなければ、動物も人も暮らすのが難しい環境になってしまうのではないかと思います。

対馬に人が移入する以前の環境は知る事が出来ませんが、人と共に個体数を維持していた時期があったのですから...