職員太田の生き物ギーク

■2019

2019年

6月

17日

大きなオタマジャクシ

皆さま

ご無沙汰しております。職員太田です。

季節は進み、対馬は梅雨時期をすっ飛ばして夏のような日々が続いています。前回の記事では桜についてを書きましたが、あっという間に夏です。

 

夏といえば、プール‼

小学生の頃、夏休みになると学校のプールに通っていたのが懐かしいです。

何故、プールのお話になるかと言いますと、先日小学校のプール清掃を手伝いながら個人的に生き物調査をしてきました。

 

プールは夏の間は人間が楽しみますが、それ以外の季節は防火用水として水をため続けることもあり小さな生き物達のパラダイスになります。特に対馬は海に囲まているという環境なので淡水を求めて小さな生き物達が、びっくりするような密度で集まり生活をしています。

ガサガサと溜まっていた落ち葉などを掬い取っていくと、大量のヤゴとオタマジャクシが出てきました。このオタマジャクシ、対馬の一般的な場所で見られるオタマジャクシよりもかなり大型で外来種のオタマジャクシかもと連絡を受けていました。

 

結果は…

 

すべて対馬在来の二ホンアマガエルでした。対馬では淡水の止水域が少なく、あっても水たまりのような場所が多いので、オタマジャクシは小型のものが殆どです。ですので今回見られたようなサイズは人里周辺では珍しいです。対馬の田畑の周りで見られるアマガエルのオタマジャクシは極小サイズが多くカエルになった段階でも小指の爪ぐらいの大きさしかありません。それと比較すると今回見つかったものは、かなり大型と言えます。

 

巨大なオタマジャクシがウヨウヨしていると聞いていたので、もしや外来種かと思っていましたが安心しました。

生き物回収後は、小中学生、教員の方達と一緒に、ピカピカになるまでプールをこすってきました。ヤマネコ獣舎の清掃で養われたブラシ術が活きました!

 

そして、清掃の帰りに同定用の写真を撮影していると、中学生達に声をかけられ、回収した生き物のお話をしてきました。会話の最中に中学生から「ヤマネコの話は学校やヤマネコセンターでも聞くけど、ほかの生き物については、殆ど知らないです。」と聞いて、心底もったいないなと感じました。希少種だからとか固有種だからではなく、ヤマネコよりも少し身近にいる生き物についてを知る機会を作って上げられたら、保全等の難しいお話は抜きにして純粋に楽しんで貰えると思うんですけどね。

2019年

4月

01日

花見と史所巡り

対馬に移住して3年目、仕事以外でも趣味の釣りとフィールド散策のおかげで、面白いと感じることが尽きません。

 

先日は、春の陽気に誘われて、対馬中部にある対馬を形成する有人島では3番目に大きい島山島に散策しに行ってきました。

 

島山島は浅茅湾の最奥に位置しているおかげで対馬で問題になっている磯焼け現象の影響が少ないとされており、現在でも多数の海藻類が繁茂している美しい島です。対馬に住んでいても案外行ったことのない人が多い島と言われていますが、島山島に向かう道路際には桜が茂り、海には数メートルにも伸びだホンダワラの森が広がる素敵なロケーションですので今からの時期に対馬に来るならばお勧めの場所です!

 

っと、素晴らしい自然もさることながら歴史的に見ても島山島は非常に面白い島だったりもします。歴史に興味がなくとも様々なメディア媒体で名前が登場する戦国時代の名将「島左近」のお墓が対馬内に「カ所」残されておりその一つがあります。非常に有名な武将ですが関ヶ原の戦いで西軍石田三成の重臣として活躍するも西軍が敗北した後にどうなったかが明確になっておりません…

有名な武将でしたが時代が時代ということもあり、情報が錯綜しすぎているらしいです。

 

 

ちなみに古今武家盛衰記では難なく西国に落ちのびた…という文章が残されていますのでもしかすると対馬で余生を過ごしたのかもしれません。

 

散策ついでに知る人ぞ知る、お墓までお参りに行ったわけですが、存在していたはずの道は獣道に変わっておりました…

興味を持って訪れたいと思っている方がいらっしゃいましたら、完全なトレッキングスタイルで登ることをおススメます…笑

2019年

3月

26日

第29回日本飼育技術学会に参加してきました

皆さま

ご無沙汰しております、職員太田です。

先日東京で開催された第29回日本飼育技術学会に参加してきました。

昨年より顔を出し始め今年で2回目の参加となりました。

今回のテーマは「繁殖と栄養」で、日本全国の動物飼育関係者が集まり大盛況でした。

 

ざっくりと今回の学会テーマである繁殖に関しては主に海獣類・鳥類・大型哺乳類の繁殖時でのトラブルや回避の方法、妊娠鑑別について。栄養に関しては主に繁殖時に特に重要になる栄養や、各栄養がどの様な影響を与えるかについてのプレゼンが行われました。

 

そして参加した感想は…

勉強になった!っという至極当たり前のものでして、各プレゼンの一つ一つの内容が濃いのでブログで説明するのが難しいです…

 

個人的にですが学会後に、ある関係者とお話しした時に聞いた「動物種にあった飼育施設は飼育員がデザインするべきだ。」という言葉が今の自分には最も印象に残りました。

国内で展示される動物種は様々で、極端な話ですが北極に近い場所で生息する種から、赤道直下で生息する種まで飼育されています。

 

自分はツシマヤマネコの飼育員なので国内生息の2種のヤマネコで例えると…

イリオモテヤマネコとツシマヤマネコはどちらも日本の離島に生息するベンガルヤマネコを始祖とするヤマネコですが生息環境は驚くほど異なります。

名状しやすい気温だと以下のようになります。

 

西表島(イリオモテヤマネコ)      対馬(ツシマヤマネコ)

年間平均最高気温23.7℃         年間平均最高気温15.7℃

年間平均最低気温21.4℃         年間平均最低気温13.4℃

 

気候区分だと西表島は亜熱帯海洋性気候(気温のみなら熱帯雨林気候相当)で対馬は海洋性気候となります。時々勘違いされるのですが対馬って案外涼しいんです。

 

生物は生き残るため環境に適応進化していますので、スペシャルな体をしています。ツシマヤマネコだと冬の厳しい寒さに負けぬように換毛が起こり冬場はモフモフな被毛になります。逆にイリオモテヤマネコだと年間通して気温が高く必要以上に体温を上げぬように年間通して被毛は短毛です。

逆説的には適応した結果、域内に生息する動物にとって必要不可欠な環境になっています。ですので、動物を飼育する場合、環境の再現や生息域内での生態を知っておかないと動物のエンリッチを高めるのが難しいのです。

イリオモテヤマネコやツシマヤマネコは生態としてまだ解明されていない部分が多くありますので完璧な飼育管理をするのは非常に難しいと感じますが、少しでも快適な環境を再現できるように努力を続けたいと思います。

 

改めて学会に参加してプロフェッショナルな話を聞けて勉強になりました!!

 

 

■2018

2018年

12月

17日

生き物たちも本格的に冬支度

朝夕がぐっと冷え込み、最低気温が氷点下となる日が出てきた対馬ですが、小さな生き物たちもすっかり冬支度をするようになっていました。

写真は施設のメンテナンス中に石をどかした時のものになりますが、4種の対馬らしい生き物が写っています。どんな生き物が潜んでいるかわかるでしょうか?

 

正解は...

中央左:ツシマカブリモドキ

中央:ツシマサンショウウオ

右端:ツシマアカガエル

右端:チョウセンヤマアカガエル

 

国内だと対馬にしか生息していない生き物だらけです!

冷え込みが強くなりみんな冬眠しようと石の下に潜り込んだようです。太田が掃除をしていたので、さぞ迷惑していたことでしょう...

写真撮影後に石を戻しておきました。

2018年

11月

09日

ツシマウラボシシジミ

 休みの日には、どこかのフィールドに分け入っている職員太田です。

 

今回は、ツシマヤマネコと並んで保護活動が盛んな「ツシマウラボシシジミ」をご紹介します。シジミと名前がついていますが貝ではなく蝶です!!

 

 

 ただし... ご紹介と言っても、この生き物は非常に小さく森林に生息しているため太田の持つカメラでは飛翔する様子を撮影することは出来ないので確実に撮影できる幼虫や見つけた発生卵のご紹介になります…

見事に幼虫ばかりですね...

写真は産卵草と考えられているヌスビトハギに付く幼虫たち。接写するとなんとも淡い色合いで和菓子の様です。蟻が幼虫に乗っている写真がありますが、これは蟻に襲われているわけではなく幼虫が出す蜜を貰いに来ているだけです。シジミの仲間たちは蟻と相利共生にあると言われており、幼虫が出す蜜を貰う代わりに蟻は外敵や幼虫と競合するような虫を追い払う用心棒をしていると考えられています。ちなみにクロシジミはクロオオアリの巣の中で成長します。ここまでいくと用心棒というよりベビーシッターですが。

話を戻してツシマウラボシシジミとはどんな蝶かというと…

 

チョウ目 シジミチョウ科

ツシマウラボシシジミ

学名  Pithecops fulgens tsushimanus(Shirozu & Urata, 1957)

 

1957年に当時、長崎大学の学生だった浦田明夫・池内一三さんが発見した蝶です。学名に対馬と記載される地域亜種となります。原産地はインドで比較的温暖な気候で生息しており対馬にいるのが不思議な蝶です。容姿の特徴はオスの翅表は青く、メスでは黒色で翅裏に一対の黒い点紋があります。国内希少野生動植物種指定をされており、国内では最も絶滅に近い蝶とも言われています…

 

大きな原因は2つ考えられていて

・増えすぎたツシマジカによる植生の崩壊

・植林地の放置による林床への日照量の減少

 

発見当時、対馬内では比較的数多く見られていたそうですが現在では数が激減しております。

減少要因の2つはツシマヤマネコの減少要因と符合しており、対馬での野生動物保護で何が必要なのかを表しています。保護ときくと生かすというイメージがわくかと思いますが、駆除による適正頭数維持も含まれており、何かの命を奪う活動も必要になります。多くの方々に理解してもらうのが難しいかもしれませんが、対馬の場合だとツシマジカを適正頭数に戻さなければ、動物も人も暮らすのが難しい環境になってしまうのではないかと思います。

対馬に人が移入する以前の環境は知る事が出来ませんが、人と共に個体数を維持していた時期があったのですから...

2018年

11月

07日

対馬なお魚達

 

  皆さま、ご無沙汰しております。生き物がとにかく好きな職員太田です。

 

 生き物と出会える方法は沢山ありますが、海に関しては、釣りが大好きで時間を見つけては、地元の釣り仲間達と地磯に通っています。基本的に道は整備されていないので山やら谷やらをウエットスーツ着用のままドンドンと分け入っていく感じで釣り場に向かいます。年間通して数多くの魚と出会える対馬の海ですが、秋は特に青物と呼ばれるブリやヒラマサ、サワラ等が餌を求めてやってきますので最高の時期となります。

 

  冬場になると一気に風が強くなり釣りどころではなくなるので、なるべくいまの時期に楽しみたいと思います。という事で今回の記事では先日の休みに釣れた魚たちをご紹介しておきます!!

 

写真の通りヒラマサがよく釣れており、時々アラも釣れます。

対馬では最近堤防から28.8kgの大物ヒラマサが釣られています!

海の主かと思う大きさですが世界記録では240cm、98.6kgという記録が残っていますのでそれと比べると巨大と言うほどではないそうです...笑

ちなみに味の方は両魚種とも非常に美味しく、釣ったあとはご飯のオカズ、対馬スタッフへのお土産、地元集落での宴会の魚になったりしています。自身でさばいて食べていますが、魚が大き過ぎてキッチンではさばけないのでお風呂場で解体してます... 

知らない人が見たら間違いなく危ない人ですね…

2018年

10月

03日

オキナワルリチラシ

棹崎公園の散策中に見つけた対馬にいるけど南西諸島な名前をした美しい蛾をご紹介します。

 

界 : 動物界 Animalia

門 : 節足動物門 Arthropoda

綱 : 昆虫綱 Insecta

目 : チョウ目(鱗翅目) Lepidoptera

科 : マダラガ科 Zygaenidae

亜科 : ホタルガ亜科 Chalcosiinae

属 : Eterusia

種 : オキナワルリチラシ E. aedea

 

蛾ですが、非常に鮮やかで並の国産蝶よりも美しいです。頭から胸部、足には見る角度によって色が変化する金属光沢があり、光沢は産地により変化します。

 

生息地は南西諸島をはじめ本州でも見られますが、比較的温暖な気候を好み自治体によってはレッドリストに登録されています。対馬の個体は足や胸部に青色の光沢が強く入った個体が多いような気がします。この蛾はサツマニシキと並んで美麗種と言われています。

 

シカの食害により対馬の植生崩壊が心配される中でも、シカでもなかなか食べないツバキを糧に幼虫期を過ごすため個体数は安定しており、フィールドでは良く観察することが出来ます。

幼虫成虫ともに危険を感じると白い泡を出しますので、観察する時はなるべく捕獲はせず撮影のみに留めておくのが個体にとっては最良です。ちなみに白い泡には青酸を含むため人体には有害です...

2018年

1月

27日

福馬とのトレーニングについて「其之壱」

 

みなさま、こんにちは🐈

太田です!

 

ヤマネコセンターの展示ヤマネコの福馬と一緒に行っているトレーニングの紹介を数回の記事に分けて書いていきます!

 

福馬と一緒に行っているトレーニングはハズバンダリートレーニングと言われるものです。

カタカナの何とも小難しそうな単語で、ヤマネコセンターの来館者の方々にもよく質問をされます。まずは小難しいハズバンダリートレーニングとは何かを簡単にご説明します。

単語を2つにわけると分かりやすくなります。

 

ハズバンダリートレーニング

  ↓        ↓

  受診動作               訓練

 

受診動作とは文字通り診察を受ける事を意味しています。想像しやすいのは風邪や予防接種の時に病院に行くと体温を測ったり、聴診器をあてられたり、舌の色を診られたりすると思います。そのような事を総称して受診動作と言います。そしてトレーニングは訓練です。ですので合わせると受診動作訓練となります。日々の健康チェックで必要となる動作をヤマネコに合わせた形でトレーニングを行っています。

 

では福馬はどのようなトレーニングをしているかは…

次回の記事にて詳しく紹介したいと思います!

■2017

2017年

8月

18日

はじめまして!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブログを見られた皆様、お初にお目にかかります!

 

2017年4月よりNPO法人どうぶつたちの病院の職員になりました太田と申します。

 

主に対馬野生生物保護センター(通称:ヤマネコセンター)にて公開しているヤマネコの飼育や、怪我や病気で保護されたヤマネコが野生復帰するまでのトレーニングを担当しています。

 

出身は静岡県ですが昨年まで熊本で動物看護師をしておりました!

 

日頃、目にする事すら稀なツシヤマネコですが、そのトレーニングとなると自身の経験だけでは対処出来ないことだらけの毎日です。

  

獣医師の先生方や先輩トレーナーの方々にご教授して頂きながら少しでも人とヤマネコ双方が良好な関係を築けるように頑張っていきます!!

 

対馬よりこれから様々な情報を発信しつつ自身の成長も報告できたらと思っています!!

日々の福馬の様子は対馬市が公開しているライブ中継で好きな時に見ることが出来ます。私たちトレーナーも福馬と一緒に映るのでお時間がある時に是非ご覧ください!!